「帰る」「返る」「還る」この三つの言葉は全て「かえる」と読み、意味も似ています。使い分けるときは、どの「かえる」にするか迷うこともあるでしょう。
日本語の「返る」「帰る」「還る」は、物や人が元の場所や状態に戻ることを表す際に使われます。これらの言葉は同じ読み方ですが、それぞれの使い方には微妙な違いがあるので、それぞれの違いについて説明します。
「返る」の意味・使い方
基本的には「元に戻る」ことを意味しますが、結構広い意味がありますね。「反転する」「向きを変える」や「元の状態や位置に戻る」という意味も持ちます。表面が裏面に変わる状態や、ある状態から元の状態に戻ることを指します。
「返る」は、何かが元の場所や持ち主に戻ることや、物の向きを変える行為、上下や表裏のあるものを反対にすることを示します。「レンタカーを返す」「カードを裏返す」といった表現がこれに当たりますね。
また「点差がひっくり返る」というように状況が逆転することを意味することがあります。今までの優位や不利が入れ替わることを示しています。
さらに「引き返す」という言葉もあります。これは進んできた道を戻ることを指します。これにより、「返る」は方向を変えて元の場所に戻ることを意味することがわかります。
この「引き返す」の「返る」は「帰る」と似た意味がありますが「返る」は道筋に重点を置き「帰る」は目的地に重点を置いているところが微妙に異なります。「元の道を引き返す」と「元のいたところに帰る」の違いです。
「帰る」の意味・使い方
「帰る」は、元の場所に戻ることを指します。一般的には「元の位置や状態に戻る」という意味で使われます。
例えば、人が出身地や出身国に戻る状況を示す際に「帰る」を使います。「帰省」や「帰国」という表現が典型的です。「故郷に帰る」「国に帰る」という意味ですね。
また「今いる場所から出発地点へ戻る」という使い方もあります。「お店にいたお客様が帰る」などですね。
「還る」の意味・使い方
まず「還る」は常用外なので、通常あまり使用されることはありません。
「還る」は、限定された状況や表現に使われます。紆余曲折を経て元の場所や状態、根源や原点に戻る際に使うのが適しています。スケールが大きいニュアンスですね。
「祖国に還る」「自然に還る」「野性に還る」「大地に還る」「土に還る」「領土が還ってきた」などです。
まとめ
今回は使い分けるのに若干迷う「返る」「帰る」「還る」について説明しました。基本的に物や人が元の場所や状態に戻ることを表す言葉です。
「返る」は一番広い意味を持ち、状態や物などに使うことが多いです。「帰る」は人に使うことが多いです。人が元の場所に戻ることを指すことが多いです。
「還る」はより限定された使い方で、いろいろなことを経て大元に戻る場合などに適しています。ただ「還る」は常用漢字ではないため「帰る」を代用することが普通です。
「返る」と「帰る」は使い分けが難しい場合もあり、例えば「引きかえる」などは前後の文脈によってはどちらでも使うケースがあるので気を付けてください。