日本語には似た響きや意味を持つ言葉が多く、使い分けに迷うことがありますよね。
「好意」と「厚意」もその代表例と言えるでしょう。
どちらも「こうい」と読み、相手に対する良い感情や親切な気持ちを表す言葉ですが、実は明確な違いがあります。
- 「好意」⇒主に内面的な気持ちを表す言葉
- 「厚意」⇒実際の行動や態度を表す言葉
ビジネスシーンや日常会話で正しく使い分けられると、より適切なコミュニケーションが可能になります。
この記事では、「好意」と「厚意」の意味と違い、正しい使い方について、具体例を交えながらわかりやすく解説。
言葉の使い分けに自信がない方も、この記事を読めばすぐに実践できるようになるでしょう。
「好意」と「厚意」の基本的な意味
まずは「好意」と「厚意」それぞれの基本的な意味と語源を理解することから始めましょう。
両者の違いを把握するには、言葉の成り立ちや本来の意味を知ることが重要です。
ここでは各言葉の定義と、共通点・相違点について詳しく見ていきます。
「好意」の意味と語源
「好意(こうい)」は、相手に対して抱く好ましい感情や、親しみを持つ心のことを指します。
「好」という漢字には「このむ」「すく」という意味があり、何かを良いと思う気持ちや好感を表現する言葉。
語源を辿ると、中国の古典から来た言葉で、もともと人に対する好ましい感情や愛情を意味していました。
現代では恋愛感情だけでなく、友人や同僚に対する親近感、あるいは物事に対する好ましい態度など、幅広い意味で使われています。
重要なポイントは、「好意」が主に内面的な感情や心の状態を表す言葉であるということでしょう。
つまり、実際の行動ではなく、心の中にある「好き」という気持ちそのものを指しているのです。
「厚意」の意味と語源
一方、「厚意(こうい)」は、相手を思いやる親切な心や、深い思いやりの気持ちを表します。
「厚」という漢字には「あつい」「手厚い」という意味があり、単なる好感以上の深い配慮や親切心を含んでいますね。
この言葉も中国の古典に由来し、人に対する温かい心遣いや親切な行為を意味していました。
「厚意」の特徴は、単に好きという感情だけでなく、相手のために何かをしようとする積極的な思いやりや、実際の親切な行動を伴うニュアンスがあることです。
例えば、困っている人を助けようとする気持ちや、相手のために尽くそうという心が「厚意」と表現されるでしょう。
つまり、「厚意」は感情だけでなく、行動や態度として現れる親切心を指しているのです。
両者の共通点と相違点
「好意」と「厚意」の共通点は、どちらも相手に対する肯定的な気持ちを表す言葉であるということです。
また、両方とも「こうい」と読み、日常生活やビジネスシーンで頻繁に使われる言葉でもありますね。
しかし、両者の相違点を理解することが正しい使い分けの鍵となります。
最も大きな違いは、「好意」が内面的な感情や好感を表すのに対し、「厚意」は親切な行為や思いやりの行動を表すという点でしょう。
具体的な違いをまとめると以下のようになります。
- 好意
心の中の好ましい感情、恋愛感情を含む好きという気持ち、感情そのものにフォーカス
- 厚意
親切な行為や思いやり、相手のために何かをする気持ち、行動を伴うニュアンス
例えば、「彼女に好意を抱いている」は内面的な恋愛感情を表し、「先輩の厚意に甘える」は実際に受けた親切な行為を指しています。
この違いを意識すれば、場面に応じた適切な使い分けができるようになるでしょう。
「好意」の正しい使い方と例文
「好意」は主に感情面にフォーカスした言葉です。
ここでは具体的な使用場面と例文を通して、「好意」の正しい使い方を解説します。
感情や好感を表すときの「好意」
「好意」は、相手に対して抱く好ましい感情や好感を表現する際に使用します。
特に恋愛感情や個人的な親しみを表す場面で適切な言葉ですね。
「彼に好意を寄せている」
という表現は、恋愛的な意味での好きという気持ちを婉曲的に伝える表現として広く使われています。
また、「好意を持たれている」「好意を抱く」といった形で、他者からの好感や自分の好ましい感情を示すことができるでしょう。
この言葉のポイントは、あくまで心の中にある感情や気持ちを指しているという点です。
「新しい上司に好意的な印象を持った」
好ましいと感じる内面的な評価を表現しています。
「彼女の好意を受け入れる」
という表現では、相手の好きという気持ちを認識し受け止めるという意味になりますね。
このように、「好意」は感情そのものや、その感情に対する態度を表す際に使うのが正しい用法と言えるでしょう。
ビジネスシーンでの「好意」の使用例
ビジネスシーンでも「好意」は重要な言葉として使われますが、その使い方には注意が必要です。
主に相手の好ましい態度や前向きな姿勢を表現する際に用いられますね。
「取引先から好意的な反応をいただいた」
という表現は、相手が前向きに評価してくれたことを意味します。
「このプロジェクトには経営陣の好意的な評価がある」
肯定的な見方や支持を表現しているでしょう。
「貴社の好意的なご検討をお願いいたします」
ビジネスメールでは、このように相手に前向きな検討を依頼する際にも使用されます。
ただし、ビジネスシーンで「好意」を使う場合は、個人的な感情というよりも、組織や立場としての好ましい評価や態度を指すことが多いですね。
「お客様の好意により」という表現は避け、「お客様のご厚意により」とするのが適切でしょう。
日常での「好意」の活用方法
日常では、「好意」は友人や知人に対する親しみや好感を表現する際に自然に使える言葉です。
「あの人には好意を持っている」
友達として好きという気持ちや、人として好ましいと思う感情を伝えられますね。
「好意的に受け取ってもらえた」
自分の言動が相手に良い印象として受け止められたことを示しています。
恋愛に関する会話では、「彼の好意に気づいた」「好意を持っているか確かめたい」といった形で、微妙な感情を表現する際に便利な言葉でしょう。
日常での使用例をいくつか挙げると
- 「隣の奥さんには好意を持っている」
- 「彼女の好意を無駄にしたくない」
- 「好意的に見守ってくれている」
このように、「好意」は感情や気持ちの側面を強調したい場面で活用するのが効果的ですね。
「厚意」の正しい使い方と例文
「厚意」は親切な行為や思いやりの心を表す言葉です。
実際の行動や具体的な支援を受けた際に使うのが適切でしょう。
ここでは「厚意」の正しい使用場面と、実践的な例文を詳しく解説していきます。
親切心や思いやりを表す「厚意」
「厚意」は、相手が示してくれた親切な行為や思いやりの気持ちを表現する際に使用します。
単なる好感ではなく、実際に何か親切なことをしてもらった場面や、具体的な支援を受けた状況で用いるのが適切ですね。
「先輩の厚意で貴重な資料を見せていただいた」
先輩が親切にも資料を提供してくれたという具体的な行為を指しています。
「皆様の厚意に支えられている」
周囲の人々からの温かい支援や協力という意味を表しています。
「厚意」という言葉には、相手の深い思いやりや、自分のために労力を使ってくれたことへの敬意が込められています。
「ご厚意」と丁寧語をつけることで、より感謝の気持ちを強調できますね。
このように、「厚意」は目に見える親切な行動や、実際に受けた恩恵を表現する際に使うのが正しい用法と言えるでしょう。
感謝を伝えるときの「厚意」の表現
感謝の気持ちを伝える際に「厚意」は非常に効果的な言葉です。
特にフォーマルな場面や、目上の人に対する感謝を表現するときに適していますね。
「ご厚意に深く感謝いたします」
相手の親切な行為に対する丁寧な感謝の言葉として広く使われています。
「皆様のご厚意により、無事にイベントを開催できました」
また、このような使い方で多くの人からの支援や協力に対する感謝を表現できるでしょう。
「ご厚意に心より御礼申し上げます」
「温かいご厚意を賜り、誠にありがとうございます」
ビジネスメールでは、このように相手の親切な対応への感謝を丁寧に伝えることができます。
さらに、「せっかくのご厚意ですが」という表現は、相手の親切な申し出を丁重に断る際にも使用されますね。
この場合、相手の親切心を認めつつも、事情により受け入れられないという複雑なニュアンスを適切に伝えることができるでしょう。
「厚意に甘える」などの慣用表現
「厚意」を使った慣用表現はいくつかあり、日常会話やビジネスシーンで頻繁に使われています。
最も一般的なのが「厚意に甘える」という表現でしょう。
これは相手の親切な申し出を受け入れる際に使う謙虚な言い回しで、「それではご厚意に甘えて、お願いいたします」といった形で使用されますね。
この表現には、本来は遠慮すべきところを相手の親切に頼らせてもらうという謙遜のニュアンスが含まれています。
また、「厚意を無にする」という表現は、せっかくの親切を無駄にしてしまうことを意味し、「せっかくのご厚意を無にするわけにはいきません」という形で使われるでしょう。
その他の慣用表現としては、
- 厚意を受ける:親切な行為や支援を受け入れる
- 厚意に報いる:受けた親切に対してお返しをする
- 厚意を寄せる:親切な気持ちで接する
これらの表現を適切に使うことで、より洗練されたコミュニケーションが可能になりますね。
特に「厚意に甘える」は、相手の親切を受け入れる際の定型表現として覚えておくと便利でしょう。
「好意」と「厚意」の使い分けのポイント
ここまで両者の意味と使い方を見てきましたが、実際の場面ではどう使い分ければよいのでしょうか。
このセクションでは、具体的な判断基準と、迷った時の選び方のコツを解説します。
正しい使い分けができれば、より適切で洗練された日本語表現ができるようになるでしょう。
感情か行為かで判断する方法
「好意」と「厚意」を使い分ける最もシンプルな判断基準は、「感情について話しているのか、行為について話しているのか」を考えることです。
もし内面的な気持ちや好感、恋愛感情など、心の中にある感情を表現したい場合は「好意」を選びましょう。
一方、実際に受けた親切な行動や、具体的な支援、思いやりのある対応など、目に見える行為や行動を表現したい場合は「厚意」が適切ですね。
例えば、「彼女に好意を抱いている」は内面の恋愛感情を指すため「好意」が正解で、「先生の厚意で推薦状を書いていただいた」は具体的な親切行為を指すため「厚意」が正しいでしょう。
また、「好意的な態度」という表現は、前向きな姿勢や好ましい雰囲気という感情面を強調しているため「好意」を使い、「ご厚意をいただく」は実際に何か親切なことをしてもらうという行為を指すため「厚意」を使用します。
この「感情か行為か」という判断軸を持つことで、ほとんどの場面で正しい選択ができるようになるでしょう。
迷ったときの選び方のコツ
それでも使い分けに迷った場合は、いくつかの簡単なコツを使って判断できます。
まず、「好き」という言葉に置き換えられる場合は「好意」、「親切」という言葉に置き換えられる場合は「厚意」と考えてみましょう。
例えば、「彼に好意を持っている」は「彼のことが好き」と言い換えられるため「好意」が適切ですね。
また、感謝の気持ちを伝える場面では、ほとんどの場合「厚意」を使うと覚えておくと便利でしょう。
「ご厚意ありがとうございます」という表現は一般的ですが、「ご好意ありがとうございます」はあまり使われません。
さらに、「甘える」「受ける」「いただく」といった動詞と組み合わせる場合は「厚意」、「抱く」「持つ」「寄せる」といった動詞と組み合わせる場合は「好意」を選ぶことが多いですね。
もう一つの判断基準として、ビジネス文書やフォーマルな場面で相手の親切に言及する際は、基本的に「厚意」を使うと覚えておくと失敗が少ないでしょう。
間違えやすいシチュエーション別の使い分け
実際の使用場面で特に間違えやすいシチュエーションをいくつか見ていきましょう。
まず、贈り物をいただいた際の表現では「ご厚意に感謝します」が正しく、「ご好意に感謝します」は不適切です。
これは具体的な親切行為(贈り物をくれた)に対する感謝だからですね。
次に、誰かの気持ちや感情を推測する場面では「好意」を使います。
例えば「彼は私に好意を持っているようだ」は正しいですが、「彼は私に厚意を持っているようだ」は不自然でしょう。
また、助けを受けた際は「ご厚意で助けていただいた」、前向きな評価を得た際は「好意的な評価をいただいた」と使い分けます。
間違えやすい場面をまとめると
- 贈り物・支援を受けた⇒「ご厚意」を使用
- 恋愛感情・個人的な好感⇒「好意」を使用
- 感謝を述べる場面⇒ほとんどの場合「ご厚意」
- 態度や評価を表す⇒「好意的」という形容詞的用法
特にビジネスメールでは「ご厚意により」「ご厚意に甘えて」という表現を使う場面が多いため、この使い方をマスターしておくと安心ですね。
よくある間違いと注意点
「好意」と「厚意」の使い分けは、日本語学習者だけでなく、ネイティブスピーカーでも間違えることがあります。
ここでは実際によく見られる間違いのパターンと、注意すべきポイントを詳しく解説していきましょう。
「好意」と「厚意」を混同しやすい場面
最も混同しやすいのは、相手が何かをしてくれた際の感謝の表現です。
「お忙しい中、ご好意で対応していただき」という表現を見かけることがありますが、これは誤りで、正しくは「ご厚意で対応していただき」となりますね。
なぜなら、相手が実際に行動してくれた親切行為に対する感謝だからです。
また、「好意的に接してもらった」という表現と「厚意で助けてもらった」という表現を混同する例も多いでしょう。
前者は態度や姿勢の話なので「好意的」が正しく、後者は具体的な支援行為なので「厚意」が適切です。
さらに、「彼の好意を無駄にしたくない」という表現も、文脈によって意味が変わります。
恋愛感情を指す場合は「好意」が正しく、親切な行為を指す場合は「厚意を無駄にしたくない」とすべきですね。
プレゼントやお土産をもらった際に「お好意をいただいて」と言うのは不適切で、「ご厚意をいただいて」が正解です。
このように、感謝の場面では特に混同が起きやすいため、注意が必要でしょう。
ビジネスメールでの使い分けの注意点
ビジネスメールでは、「好意」と「厚意」の使い分けが特に重要になります。
基本的に、取引先や上司からの親切な対応や支援に対しては「ご厚意」を使うのが正しいですね。
例えば、「この度はご厚意によりご対応いただき、誠にありがとうございます」という表現は、相手の親切な行動に対する感謝として適切でしょう。
一方、「貴社の好意的なご検討をお願いいたします」という表現では、前向きな姿勢や態度を依頼しているため「好意的」が正しい使い方です。
また、「ご厚意に甘えまして」という表現は、相手の申し出を受け入れる際の定型句として頻繁に使われますね。
「せっかくのご厚意ですが、今回は見送らせていただきます」という断りの表現も、ビジネスシーンでは重要でしょう。
注意点としては、「お好意」という表現は日常会話ではまれに使われますが、ビジネス文書では基本的に「ご厚意」を使うべきだということです。
また、「好意的」という形容詞は使えますが、「厚意的」という言葉は存在しないため、この点も覚えておくとよいですね。
類語との違いと使い分け(善意・好感など)
「好意」「厚意」と似た意味を持つ類語もいくつかあり、これらとの使い分けも理解しておく必要があります。
まず「善意」という言葉は、悪意のない純粋な気持ちや、良かれと思ってする心を指しますね。
「善意で行動した」という表現は、悪い意図はなく良いことをしようとした気持ちを意味します。
「好意」が特定の相手への好ましい感情を指すのに対し、「善意」はより普遍的な良い意図を表すという違いがあるでしょう。
次に「好感」という言葉は、相手に対して抱く好ましい印象や好ましく思う気持ちを指します。
「好感を持つ」「好感度が高い」という使い方をしますが、「好意」より軽いニュアンスで、恋愛感情までは含まないことが多いですね。
主な類語との違いをまとめると
- 好意
- 特定の相手への好ましい感情、恋愛感情を含む
- 厚意
- 親切な行為、思いやりのある行動
- 善意
- 悪意のない純粋な気持ち、普遍的な良い意図
- 好感
- 好ましい印象、ライトな好ましさ
また、「親切」という言葉も「厚意」と近い意味ですが、「親切」はより日常的で直接的な表現であり、「厚意」は敬意を込めたフォーマルな表現という違いがあります。
状況に応じてこれらの類語も使い分けられると、より豊かな表現ができるようになるでしょう。
「好意」と「厚意」まとめ
「好意」と「厚意」は同じ読み方をする言葉ですが、使い分けには明確な基準があることをご理解いただけたでしょうか。
「好意」は相手に対する好ましい感情や好感、恋愛感情など、主に内面的な気持ちを表す言葉です。
一方、「厚意」は相手が示してくれた親切な行為や思いやり、具体的な支援など、実際の行動や態度を表す言葉でしたね。
使い分けの基本は「感情なら好意、行為なら厚意」と覚えておくとシンプルです。
ビジネスシーンでは、相手の親切な対応に感謝する際には「ご厚意」を使い、前向きな態度や評価を表現する際には「好意的」という形で使用するのが適切でしょう。
また、「厚意に甘える」「ご厚意に感謝します」といった定型表現も覚えておくと、フォーマルな場面で役立ちます。
日常会話では、恋愛感情や個人的な好感を表す際に「好意」を使い、誰かから助けてもらった際には「厚意」を使うという使い分けを意識しましょう。
言葉の使い分けは日本語の奥深さを感じさせる部分であり、正しく使えることで相手に与える印象も大きく変わります。
この記事で解説した内容を参考に、日々のコミュニケーションで「好意」と「厚意」を適切に使い分けていただければ幸いです。






