「受ける」と「請ける」

「受ける」と「請ける」、どちらも日常的に使われる言葉ですが、その違いを正確に説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか?

文章を書く場面やビジネスメールで迷った経験がある方も多いはずです。

本記事では、「受ける」と「請ける」の意味と違いをわかりやすく解説し、具体的な使い分け方まで紹介。

正しい言葉遣いを身につけたい方や、国語力を高めたい方に役立つ内容になっています。




「受ける」と「請ける」の基本的な違い

  • 抽象的な対象に受動的に受ける
  • 具体的なものを能動的に請ける

「受ける」と「請ける」の基本的な意味とは?

まずは、それぞれの言葉が持つ基本的な意味を押さえておきましょう。

混同されがちなこの2語ですが、意味や使われ方には明確な違いがあります。

「受ける」の意味と使い方

「受ける」は、外部からの働きかけを自分の側に取り入れることを指します。

たとえば、試験を受ける、影響を受ける、好評を受けるなど、何かを“被る”ようなニュアンスが特徴。

動作の対象が比較的抽象的な場合が多く、受動的な印象を与える言葉としても使われます。

「請ける」の意味と使い方

「請ける」は、依頼や仕事、責任などを引き受ける意味で用いられます。

たとえば、仕事を請ける、注文を請ける、依頼を請けるといった具合。

「請」という漢字が含まれている通り、相手の申し出や要求を積極的に引き受けるニュアンスが強く、ビジネスシーンでよく使われますね。

共通するニュアンスと違いの出発点

どちらも「何かを引き受ける」点では共通していますが、違いはその対象やニュアンスにあります。

「受ける」はより広く抽象的な対象に使われるのに対し「請ける」は主に具体的な依頼や仕事に使われる点がポイント。

この違いを押さえることで、正確な使い分けが可能になります。




「受ける」と「請ける」の違いを徹底比較

ここでは、意味だけでなく使われる文脈や対象の違いなど、より実践的な観点から「受ける」と「請ける」の違いを詳しく比較していきます。

使われる場面の違い

「受ける」は学校や日常生活、感情表現など幅広い場面で使用されます。例えば「講義を受ける」「衝撃を受ける」などが代表例。

一方「請ける」は主にビジネスや職人仕事など、契約や依頼が関わる状況に使われます。

「注文を請ける」「仕事を請ける」など、具体的な業務や責任の受諾が中心です。

主語・対象の違いに注目

「受ける」は一般的に、動作主が何かを受動的に得る場合に使われます。

逆に「請ける」は、依頼された内容を能動的に引き受ける場合に使われるのが多いでしょう。

また、「受ける」は主語が個人でも抽象的なものでもOKですが、「請ける」は主に人や会社などが具体的な責任を引き受ける場面で使われやすいです。

類義語との比較でより明確に

「受ける」の類義語には「被る」「享ける」などがありますが、どれも外部から影響を受ける意味を含みます。

一方、「請ける」の類義語には「引き受ける」「承る」などがあり、依頼や申し出に対しての能動的な姿勢。

この類義語の違いを見ることで、2語のニュアンスの差をより深く理解できます。




「受ける」と「請ける」の正しい使い分け方

ここでは、実際の文章や会話で迷いやすい場面を取り上げながら、「受ける」と「請ける」の具体的な使い分けのポイントを紹介します。

仕事や依頼に関する使い分け

ビジネスの現場では「仕事を請ける」が正解です。

たとえば、「この案件を請けてもらえますか?」のように、具体的な業務や依頼を引き受ける場合は「請ける」を使いましょう。

一方、「仕事の評価を受ける」や「上司の指示を受ける」など、受動的な受け取りには「受ける」が適しています。

試験・影響など抽象的な使い方

「試験を受ける」「感動を受ける」「影響を受ける」など、目に見えない出来事や感情などに対しては「受ける」が使われます。

このような場面で「請ける」を使うのは不自然です。抽象的な対象には「受ける」を使うと覚えておくと便利。

敬語・ビジネスでの注意点

ビジネスメールでは、「ご依頼を請けたまわりました」のように「請ける」の敬語形が用いられる場面もあります。

ここでは「承る」と置き換えることも可能ですが、意味を正確に理解していないと誤用につながる時もあるでしょう。

一方、「ご意見を受け止めます」「指導を受けました」など、フォーマルな場でも「受ける」は自然に使われます。




間違えやすい表現とその対策

ここでは、「受ける」と「請ける」の誤用例や、正しく使い分けるための実践的な対策をご紹介します。

実際の誤用例とその修正

例えば、「注文を受けました」という表現。

日常では問題ないように聞こえますが、ビジネス文書や正式な表現では「注文を請けました」がより適切。

また、「試験を請ける」という使い方も誤用であり、正しくは「試験を受ける」となります。

こうした微妙な使い方のズレが、読み手に違和感を与える原因となります。

文章校正時のチェックポイント

文章を見直す際には、「受ける」「請ける」が何を対象にしているかに注目しましょう。

もしその対象が感情・試験・影響など抽象的なものなら「受ける」、業務・依頼・契約など具体的なものなら「請ける」が適切。

対象語に着目することで、誤用を防ぎやすくなります。

ツールや辞書を使った確認法

国語辞典やオンライン辞書、AI校正ツールなどを活用するのも効果的と言えるでしょう。

特にビジネス文章では「受ける」と「請ける」の違いを自動チェックしてくれるツールを活用することで、見落としを減らすことができます。

文章作成のたびに確認する習慣をつけることが、誤用防止につながります。




「受ける」と「請ける」まとめ

「受ける」と「請ける」は、どちらも“何かを引き受ける”という共通点を持ちながらも、使われる対象や場面によって明確な違いがあります。

「受ける」は試験や影響、感情など抽象的な対象に使われ、「請ける」は仕事や依頼など具体的な内容を引き受ける際に用いられます。

正確に使い分けることで、読み手に違和感を与えず、信頼感のある文章表現が可能になります。

日常的な文章作成やビジネスシーンにおいて、この違いをしっかり意識し、正しい日本語を身につけていきましょう。