追及・追求・追究

「追及」「追求」「追究」。

どれも「ついきゅう」と読む漢字ですが、意味や使い方の違いをきちんと説明できる方は意外と少ないのではないでしょうか?

実際、これらの言葉はニュース記事やビジネス文書などでも頻繁に登場し、それぞれに明確な意味と使い分けのルールがあります。

  • 追及は「責任や問題を追い詰める」
  • 追求は「理想や目的を目指して努力する」
  • 追究は「真理や本質を深く探る」

この記事では、「追及」「追求」「追究」の違いを丁寧に解説し、例文や覚え方も交えて分かりやすくご紹介します。

正しく使い分けられるようになれば、文章の説得力と表現力がグッとアップしますよ!




「追及」「追求」「追究」の基本的な意味とは?

「ついきゅう」と読む3つの言葉は、どれも“何かを追いかける”という共通のイメージがありますが、実際には使いどころもニュアンスも異なります。

ここではまず、それぞれの意味と使い方を明確にしていきましょう。

「追及」の意味と使い方

「追及」は、「責任・原因・問題点などを問いただす、追い詰める」という意味があります。

たとえば「責任を追及する」「真相を追及する」など、誰かや何かの過ちや原因を明らかにするために、厳しく問い詰めるような場面でも使いますね。

対立的、調査的な印象を伴うのが特徴です。

「追求」の意味と使い方

「追求」は、「目的や理想、利益などを求めて追いかける」という意味。

たとえば「利益の追求」「理想の追求」など、価値あるものを得ようとする努力を表します。

ポジティブな意味合いで使われることが多く、ビジネスや自己実現の場面でよく使うかもしれません。

「追究」の意味と使い方

「追究」は、「物事の本質や真理を深く探求すること」を意味します。

例としては「学問を追究する」「原因を追究する」などがあり、科学的・哲学的な姿勢やアカデミックな文脈で使われることが多いでしょう。

冷静かつ論理的に物事を掘り下げるニュアンスがあります。




3語の違いと使い分けのポイント

意味を理解したあとは、どのように使い分ければよいのかを実際の場面ごとに見ていきましょう。

文脈に合った言葉選びが、正確で伝わりやすい表現につながります。

日常での使い分け例

日常の中では、「追求」が最も多く登場します。

たとえば「夢を追求する」「自分らしさを追求したい」など、前向きな姿勢を表すのにぴったり。

「追及」はニュースなどの報道で、「責任の追及」などやや強い語感で使われることが多いでしょう。

「追究」は会話よりも文章で見かけることが多く、「真理を追究する」といった知的探求に関連した文脈が中心です。

ビジネス文書・報道などでの適切な選び方

ビジネスシーンでは、「利益の追求」「品質の追求」といった形で「追求」が頻出です。企業理念やビジョンの表現にもよく使われます。

一方、「社内不正の追及」「問題点の追及」は、コンプライアンス関連の文書や記者会見などで使われる表現。

「追究」はレポートや調査書などで、「原因を追究した結果」のように、深掘りした分析に使われます。

間違えやすいケースと注意点

たとえば、「真実の追求」としてしまうと“得ようと努力する”ニュアンスになりがちですが、「真実を徹底的に掘り下げて明らかにする」意味であれば、「追究」が適切です。

また、「責任を追求する」と誤って書いてしまうと、相手を責めるニュアンスが弱まり、「努力で責任を得ようとする?」という違和感につながるため、「追及」が正解です。




例文で理解する「追及」「追求」「追究」

実際の例文を通して、3つの言葉の使い方とニュアンスの違いを感覚的にも理解していきましょう。

「追及」の例文と解説

「追及」の例文

「記者たちは汚職疑惑について厳しく追及した」
「遺族は責任の所在を追及している」

どちらも“責任や過失を問い詰める”状況。強い語調で、相手を追い詰めるニュアンスがあります。

「追求」の例文と解説

「追求」の例文

「彼は自分の夢を追求し続けている」
「企業は常に利益の最大化を追求している」

理想や目的に向かって努力するポジティブな印象。ビジネスや自己実現の文脈にぴったりの語です。

「追究」の例文と解説

「追究」の例文

「事故の原因を科学的に追究する」
「哲学者は人間の本質を追究した」

知識や真理を深く掘り下げていくような文脈で使われます。論理性や学術的な雰囲気を持っています。




「追及」「追求」「追究」の違いの覚えかた

「追及」「追求」「追究」は、音が同じなだけに混同しやすいですが、それぞれの「焦点の違い」をシンプルに押さえることで、覚えやすくなります。

意味の違いは「何を追うか」で整理

  • 追及:責任や問題点を追う(相手を責める・問い詰める)
  • 追求:目的や理想を追う(夢・利益・価値を目指す)
  • 追究:本質や真理を追う(学術的に深く掘り下げる)

 
このように「追う対象」を明確にすると、3語の使い分けがスムーズになります。

語感でイメージ化すると覚えやすい

  • 「及」=及ぶ

    相手に迫る
    →攻める・詰め寄る(例:責任を追及)

  • 「求」=求める

    手に入れたい
    →努力・チャレンジ(例:夢を追求)

  • 「究」=究める

    深く掘る
    →研究・分析(例:原因を追究)

このように漢字1文字のイメージを捉えるだけでも、記憶に定着しやすくなります。

「追及・追求・追究」の違い早見表

語句 意味 主な使い方
追及 責任・問題を問い詰める 報道・調査・訴訟
追求 目的・理想を追い求める 目標設定・ビジネス・夢など
追究 本質・真理を深く探る 学問・研究・調査報告など





「追及・追求・追究」まとめ

「追及」「追求」「追究」は、どれも「ついきゅう」と読む同音異義語ですが、それぞれに異なる意味と使いどころがあります。

  • 追及は「責任や問題を追い詰める」
  • 追求は「理想や目的を目指して努力する」
  • 追究は「真理や本質を深く探る」

この3つを正しく使い分けることで、文章の正確さと説得力が大きく向上すると思います。

特にビジネスや文章表現においては、ちょっとした言葉の違いが相手に与える印象を左右することもあります。

本記事で紹介した意味の整理や覚え方を参考にしてみてくださいね!