オール(徹夜)するか、それとも一時間だけでも寝るか、どっち?

「仕事が遅くなってしまった」「夜が明けるまで飲んでしまった」またはテストの勉強、受験勉強、レポートなどで寝る時間を削りたくなる状況に直面することがあります。

そういったとき、「中途半端に寝るよりも起きていたほうがいいのかな」と悩むことがあります。

そこで、1時間だけでも仮眠をとるか、思い切って徹夜するか、どちらが良いのでしょうか?

徹夜が避けられない場合は、できるだけ少なくとも短時間の仮眠をとることをおすすめします。仮眠の効果を高めるためには、寝るときの「姿勢や周囲の環境」および「時間」が鍵です。

ここでは、徹夜がもたらす悪影響を考慮しつつ、適切な仮眠の取り方や徹夜明けの過ごし方について説明します。眠れないときの対処法も紹介しているので、ぜひ試してみてください。

基本的には徹夜はお勧めできません

「90分寝る、無理なら15分間寝る」理由は後で述べます。

徹夜は想像以上に体に負担をかける要因となります。睡眠を取らないと体が十分に休まらず、翌日に強い眠気や集中力の低下が起きる可能性があります。

たとえわずかな時間でも仮眠をとると、睡眠不足が緩和され翌日の活動がしやすくなります。

睡眠は日中の活動によって疲れた体をリフレッシュするための重要な時間。寝ている間には成長ホルモンが分泌され、疲労を軽減してくれます。

しかし、徹夜すると成長ホルモンが分泌されず、疲労回復が妨げられます。

脳の休息のためにも睡眠は不可欠です。徹夜で睡眠不足になると、脳の活動が不十分になり精神的に不安定になり、翌日の記憶力や学習力に悪影響を与える可能性があります。

また、体の動きを制御する指令は脳から発せられているため、徹夜明けにけがをするリスクも高まります。

睡眠が必要な理由

では、睡眠がなぜ必要なのかについても説明してみましょう。

脳を休ませるため

一番の理由は、「脳を休ませて疲労を回復させるため」です。

人間は他の動物よりも大きな脳を持っており、起きている間は多くの活動を行っているため、十分に休息をとる必要があります。

また、脳は睡眠中に日中の出来事の記憶を固定化しています。睡眠不足が続くと、脳に疲労がたまり、適切な機能が発揮できなくなります。

身体のメンテナンス

次の理由は、「身体の疲労や不調を回復させるため」です。睡眠中には脳が成長ホルモンなどを分泌し、これが日中に疲れたり傷ついた身体の細胞や内臓を修復し、メンテナンスします。

「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」

睡眠は「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」の2つに分かれ、これらの睡眠を約90分ごとに繰り返します。このサイクルによって、脳や身体が回復します。

理想的な仮眠の時間は90分とされ、眠りから90分後には浅い「レム睡眠」に入るため、90分サイクルで睡眠をとると、スッキリと目覚めることができます。

睡眠は90分サイクルで、1サイクルは約90分です。ノンレム睡眠から始まり、次にレム睡眠に入ります。ノンレム睡眠では脳が休息し、レム睡眠では脳が活発になり、記憶の整理や定着が行われます。

仮眠は90分単位で取り、できるだけ3時間や4時間半といった時間を増やすと良いでしょう。睡眠時間が長くなると、レム睡眠の割合が増え、目覚めが良くなります。

超短時間の仮眠

一般的には7時間の睡眠がしっかりと疲労回復に適していますが、個人や年齢によって異なります。

人は眠り始めてから20分ほどで眠りが深くなるといわれています。よって、超短時間の仮眠を取る場合は、15分ほどで切り上げると、スッキリ目覚めることができます。

それ以上寝てしまうと眠りが深くなり、目覚めたときつらくなります。つまり、90分前後ならレム睡眠で起きるため比較的スッキリ目覚められますが、ノンレム睡眠の時に目覚めると起きるのが大変になるということですね。

深い眠りに入る前に仮眠を終えることが重要で、環境も快適すぎないように心掛けましょう。超短時間の仮眠は、ベッドに入らずに椅子で眠るなど多少無理のある姿勢でとると効果的です。

寝付けないとき

ベッドに入っても寝つけないことはよくあります。徹夜を避けたいと思っても焦りが余計に眠りを妨げることがあります。
以下は、寝付けないときの対処法です。

リラックスさせる

寝床内の温湿度を整えると、リラックスして寝つきやすくなります。快適な寝床の環境を整えるために、冬は毛布や加湿器、夏はエアコンや冷却ジェルマットを利用しましょう。

また、呼吸を整えたり特定のツボを刺激することも、リラックスを促進します。頭頂部の「百会」と呼ばれるツボは心を落ち着かせる効果があります。

スマホは見ない

寝るまでスマートフォンやパソコン、テレビなどを避け、眠気が訪れるまで待ちましょう。

光を感じるとメラトニンの分泌が妨げられ、気になる情報が目に入ると脳が覚醒する可能性があります。

時計を見て起床までの時間を計算すると焦りや苛立ちが生まれるかもしれませんので、目を閉じて休息に集中しましょう。

ベッドから一度出る

眠れない場合は気分転換として一度ベッドから出てみましょう。

脳に「ベッドは眠るための場所ではない」という印象を与え、慢性的な寝付きの悪さを避けることができます。

例えば、ホットミルクやハーブティーなどを飲みながら本を読んだり、リラックスした状態で過ごすことで眠りにつきやすくなります。

ただし、眠れないときはお酒を避けた方が良いです。アルコールは眠りを浅くし、途中で目覚める可能性があるためです。

まとめ

睡眠は脳や身体の疲労回復に重要ですが、90分の睡眠サイクルを繰り返す必要があります。オールは非常に疲れる上、翌日のパフォーマンスにも影響を及ぼす可能性があります。

1時間ではなく90分寝る時間を確保しましょう。それが無理なら15分。1時間だと起きるとき大変な可能性があります。

たとえ15分でもオールするよりはマシと思って、眠気覚ましの方法を利用しつつ、できるだけオールは避けるようにしましょう。