鰻

うなぎの蒲焼きやうな丼には、時折、うなぎの肝吸いが添えられることがあります。このうなぎの肝吸いは、うなぎの内臓を使用したスープの一種でありますが、ではこの「うなぎの内臓」は具体的にどの部位を指すのでしょうか。

うなぎの肝の正体

「肝」と聞くと、おそらく肝臓を想像されるかもしれませんね。確かに「肝」の漢字からも察せられる通り、通常は「肝臓」という内臓器官を指します。それなら、うなぎの「肝吸い」も肝臓を使用しているのではないか、と考えるでしょう。

しかし、実際にはうなぎの肝臓ではなく、腎臓や腸の一部が付着している「鰻の胃袋」なのです。うなぎの肝は脂肪が控えめで、スープの具として適しています。ナトリウム、鉄、ビタミンA、ビタミンBが豊富で健康にも良いのですが、少々の苦みがあるため、好みが分かれることもあります。

栄養豊富で滋養強壮に効果的な肝吸いは、美味しいだけでなく体にも良い料理と言えそうですね。鰻の胃袋は脂肪が少なく、食べやすい部位として重宝されています。

栄養価が高く美味しいため、たくさん食べたくなりますが、摂りすぎには注意が必要です。鰻の肝に含まれるビタミンAは過剰摂取で頭痛や肝臓障害を引き起こすことがあるので、食べ過ぎに気をつけましょう。

うなぎの肝に毒の噂

一部の情報ではうなぎの肝に毒があると言われていますが、これは正確ではないそうです。毒があるにはありますが、毒が含まれているのは肝ではなく「うなぎの血液(血清)」とのこと。

うなぎの血液には「イクシオヘモトキシン」と呼ばれる毒が含まれており、目や口、傷口に触れると炎症を引き起こすことがあり、大量に摂取すると何と死に至ることもあります。まあ、半端ない量を食べると、ということだと思いますが。

厚生労働省のデータによれば、イクシオヘモトキシンの致死量は体重60kgの場合、1,000mlとされています。この毒は60℃、5分の加熱で無毒化するため、うなぎを食べる際は十分に加熱してください。

一部の専門店では、職人による完全な血抜きが行われたうなぎの刺し身や生の肝が提供されていますが、不安な方は控える方が良いでしょう。

うなぎの肝はどうやって手に入れる?

鰻の肝は鰻料理店だけでなく、自宅でも楽しむことができたら嬉しいですね。ただし、お店で鰻の肝を見かけることはあまりありません。

確かに、スーパーでは生の鰻の肝はほとんど販売されていません。購入を考えるなら、お魚をその場で捌いているような専門のお魚屋さんがおすすめです。特に土用の丑の季節には鰻が豊富に出回り、手に入れやすくなります。

肝吸い以外の料理

それでは、鰻の肝は肝吸い以外にどのような料理に利用できるのでしょうか?

鰻の肝焼き

鰻の肝焼きは人気があります。串に刺さった肝を鰻の特製タレで焼いたもので、コリコリとした食感が魅力で、お酒との相性も抜群です。

鰻の肝煮

もうひとつおすすめは、「鰻の肝煮」。軽く炒めたら、甘辛い煮汁でゆっくり煮込むだけです。適切に下処理された肝なら、苦味もなく、子供たちにも喜ばれる一品になります。

まとめ

名前からして肝臓を連想しがちですが、実際には「鰻の胃袋」が肝の正体です。低脂肪であっさりとしており、コリコリとした食感が美味しい部位です。

ただ、くれぐれも肝の食べすぎにはご注意くださいね。肝吸い以外にも「肝焼き」や「肝煮」もおすすめです。ぜひお試しあれ。