言葉

「なおる」という言葉には、「治る」と「直る」の二つの漢字があります。これらの言葉は似た意味を持っていますが、使われる場面には明確な違いがあります。具体的にどう違うのでしょうか?

今回は「治る」と「直る」の意味と違いについて詳しく説明しますが、「何が」なおるのかに注意すれば、使い分けは意外と簡単です。

「治る」

この言葉は「病気やけがが良化して、元の健康な状態に戻る」という意味です。健康を取り戻すことを指します。「治癒」や「治療」という言葉も「治る」という字が入っていますね。

また、歯並びを整えるといった、身体の状態を改善する場合にも使われます。この言葉は人間や動物など、生き物に対してしか使われません。生物以外の無生物に対して「治る」を使うことはありません。

「直る」

「良い状態になる」「元の良好な状態に戻る」「間違いが訂正される」という意味です。物事の状態が修復されたり、正常に戻ることを指します。

例えば「ひび割れた外壁を直した」「パソコンが直る」「故障していた機械が直った」などのように使われます。また「猫背が直る」「悪い癖が直る」など、何かが良好な状態に改まる場合にも使われます。

「直る」の「直」という字は「まっすぐである」という意味ですが、日本語では「元のようになる」「改まる」などの意味も持ちます。

要するに、病気やけが以外の状況であれば「直る」を使うことができます。対象物も人や生き物に限りません。

「直る」と「治る」の使い分け

「治る」は生き物の健康に関する表現であり、「直る」は性格や癖、機械の状態など、さまざまな状況に使えるという違いがあります。

「治る」は、生き物の病気やけがが回復することを意味します。無生物に対して使うことはありません。

一方「直る」は、良い状態に変わることや間違いが修正されることを表し、人や物、機械など、広い範囲で使うことができます。

このため「機嫌がなおる」「機械がなおる」には「直る」を使うのが適切です。

また「性格がなおる」についても、性格は病気やけがではないため「直る」を使うのが妥当です。心の病気によって性格が変わる場合もありますが、治療の対象は病気であり、性格そのものではありません。

したがって、性格の場合も基本的には「直る」を使うのが正しい場合が多いです。

「直る」と「治る」のまとめ

・「治る」は病気やけがが回復することを意味し、基本的に生物以外には使いません。
・「直る」は状態が良くなることや誤りが修正されることを意味し、病気やけが以外の状況に広く使えます。

つまり、「直る」と「治る」はどちらも元の良い状態に戻ることを表しますが、どちらを使うか迷った場合は、「直る」は生物にも無生物にも使え、「治る」は生物にしか使えないと覚えておくと良いでしょう。