カラス

近年、街中でカラスがゴミをあさる光景が増えています。大きくて黒い体と大きな鳴き声を持つカラスは、多くの人々にとって少し恐ろしい存在かもしれません。

野菜や果物を食べられたり、ゴミを散らかされたり、騒々しい鳴き声で被害をもたらすカラスは、特にゴミ捨て場での問題が顕著です。そういうカラスによる被害に悩む人々も少なくありません。どんな方法でカラスを駆除することについては多くの人が悩んでいるのが現状。

ということで、カラスの生態や行動を理解することで、対策を立てる手助けになるかもしれません。特に4月から7月にかけては、繁殖期であり、子どもを守るために攻撃的になることがあります。この時期は特に注意が必要です。

カラスの繁殖期

3月から7月にかけて、カラスは繁殖期を迎えます。この期間中、カラスは産卵した卵や育ったヒナを守るため、通常よりも警戒心が高まります。特に4月から6月にかけて、カラスは人への攻撃が増える傾向があります。昼夜を問わず、騒がしく鳴いたり攻撃的になることがあります。

カラスの繁殖期のおおよそのサイクルは次の通りです。

  • 4月:巣作り
  • 5月:産卵
  • 6月:孵化・ヒナの育成
  • 7月:ヒナの巣立ち

カラスを捕獲することはできない?

カラスも「鳥獣保護管理法」によって保護されています。他の鳥と同様ですね。無許可でカラスの巣を撤去したりだとか、捕獲・殺傷などは原則に禁止となっています。

ですから、許可なくカラスを捕獲したり駆除したりするのは法律に違反するということになります。騒がしいからといっても、カラスを捕らえることはできません。

繁殖期の威嚇行動

通常、カラスは攻撃することはありませんが、繁殖期には違った行動を見せることがあります。

カラスには縄張りがあり、その範囲は通常、巣から20mから100mです。もし巣があることを知らずに近づいた場合、威嚇されたり攻撃される可能性があります。

以下は、カラスの反応がエスカレートする例です。

じっと見る⇒大きな鳴き声で威嚇する⇒頭上を威嚇するように飛び回る⇒飛びながら後ろに近づき後頭部を蹴る

そもそもカラスに近づかないのが一番ですが、知らず知らずのうちにカラスに近づき威嚇に気が付いたら、直ちにその場を離れましょう。

カラスに対して気を付けること

繁殖期にカラスが過剰に攻撃的になるのは、卵やヒナを守ろうとする本能からです。しかし、街中でカラスに襲われるのは大変です。対処法を見ていきましょう。

カラスを見つめない

繁殖期のカラスは警戒心が高まっているため、じっと見つめると威嚇される可能性があります。目を合わせないようにしましょう。

カラスに怒鳴ったりしない

大声で怒鳴ることは避けましょう。

カラスに物を投げない

怖くて追い払おうと思っても、物を投げるのはやめましょう。

巣に近づかない

巣から20メートル~100メートル離れることが重要です。

帽子や日傘など

攻撃された際、身を守るために役立ちます。傘などで頭を隠すことが有効です。

巣作りの材料を提供しない

洗濯物を干している場所に針金のハンガーを置いておくと、カラスが持っていくことがあります。針金のハンガーやプラスチック製品、ひもなどは、外に放置しないようにしましょう。

カラスの特徴

カラスを撃退するには、効果的なカラスよけ対策が不可欠です。それにはカラスの行動や特性を理解することが大切です。

高度な知能

カラスは鳥の中でも脳が発達し、学習や記憶能力が高いとされており、体重に対する脳の重さの割合は、犬や猫をしのぎます。ある研究によれば、カラスの知能は人間の7歳に匹敵するとのこと。例えば、道路に堅い殻を持つクルミを置き、車にひかせて割る方法を使うこともあります。

カラスは餌を貯食する習性を持っています。彼らは餌を様々な場所に隠し、後で食べるためにその場所を覚えています。

敏感な羽

カラスは自らの羽を非常に大切にしています。傷つけられることはもちろん、何かが羽に触れることも嫌います。そのため、カラスの止まりそうな場所にテグスなどを設置することで撃退することができます。

カラスの羽は敏感で、何かが触れることを極端に嫌います。そのため、テグスなどをカラスが止まりそうな場所に設置するとカラスよけになります。

警戒心が強く小心者

まあ、野生動物はみんなそうですが、カラスも例外ではなく警戒心が強い生物です。フクロウやタカなどの天敵の声を恐れ、その近くには近づかない傾向があります。異変には敏感で例えば大きな音なども嫌います。

優れた視覚能力と色覚

カラスは非常に優れた視力を持ち、人間の5倍ほどの視力を誇ります。加えて、優れた色彩能力によって、人間には見えない紫外線を認識できます。人間が見る虹の7色よりも多くの色を見ることができ、一説には二倍の14色を見ている可能性があります。

この色彩能力によって、カラスは食べ物が入ったゴミ袋などを正確に見分けることができ、微妙な色の違いからでも餌を見つけ出します。一方で、強い光には弱く、乱光線を放つものを避ける傾向があります。CDの反射光を嫌うことは良く知られていますね。

聴力は普通

可聴領域は人間と同等かそれ以下で、人間には聞こえない音域はカラスも聞こえていないと言われています。

日本のカラスには主に2種類

よく見かけるのはハシブトガラスとハシボソガラスです。都会では主にハシブトガラスが見られます。ハシブトガラスはくちばしが太く湾曲し、額が出ているのが特徴です。

ハシブトの方は人間を恐れず、人間の残飯などを漁って餌を探します。両足を揃えてピョンピョンと跳ねながら移動し、肉や油っこいものを好みます。見つけた餌は雨どいなどに隠します。

一方、ハシボソガラスは農地や川岸などに生息しています。くちばしは細く、額が出ていません。彼らは警戒心が強く、地上を歩きながら餌を探します。ピョンピョン跳ねるハシブトに対して、ハシボソは足を交互に出して歩行することがほとんどです。

ハシブトと比べると、ハシボソガラスは植物性の餌を好むと言われており、果物や稲などの農作物を荒らし回ります。見つけた餌は岩や草むらなどに隠します。

カラスよけ対策

それでは、カラスよけの対策、方法を述べていきます。

カラスが止まる場所を減らす

まずは、カラスが止まれるものを撤去したり、止まりにくい状態を作ることが有効です。また、仲間の死骸を模した人形を吊るしたり、特定のエリアに配置することで、カラスを警戒させることができます。

光や音で追い払う

カラスは乱光線や特定の音に敏感です。そのため、光や音を活用してカラスを追い払うことができます。特にゴミ捨て場などで効果が期待できます。CDを吊るす方法はよく使われていますね。

ネット(網)で保護する

ごみの収集所などでは当たり前に見かけますが、ネットを使ってカラスから守る方法は確実な方法の一つです。細かい目のネットを使用することで、くちばしの侵入を防ぐことができます。

テグスを使用する

カラスを含む鳥類のほとんどは自分の羽に何かが触れるのを嫌います。テグスやワイヤーを使用することで、カラスを傷つけずに撃退することができます。

エアガンや空砲を使用する

エアガンや空砲を使用して、カラスを追い払うことができます。ただし、エアガンはカラスに直接攻撃しないように注意する必要があります。

カラスの攻撃性について

カラスは頭が良く、攻撃を受けた人間を記憶します。そのため、次に出会った人が似たような外見の場合、攻撃を仕掛けることがあります。このような悪循環を避けるためには、できるだけ近づかずに静かに立ち去ることが最善です。

カラスの攻撃性はヒナが成長し巣立つと下がります。4月から7月の繁殖期には特に、カラスに近づかないよう注意しましょう。カラスは卵やヒナを守りたいという理由で攻撃的になるのですが、その間は特に注意が必要です。