日本語には、同じ読み方でも意味や使い方が異なる言葉が数多くあります。
「締める」と「閉める」もその一例で、どちらも「しめる」と読みますが、意味や使用場面が異なります。
たとえば、「ドアをしめる」は「閉める」が正解ですが、「ネジをしめる」は「締める」を使います。
しかし、「口をしめる」はどちらを使うべきでしょうか?
このように、日常生活の中で迷うことも少なくありません。
- 締める → 固定する・引き締める
- 閉める → 開いているものをふさぐ
本記事では、「締める」と「閉める」の意味の違いや正しい使い分けをわかりやすく解説します。
「締める」と「閉める」の基本的な意味
「締める」と「閉める」は、どちらも「しめる」と読むため混同されやすい言葉ですが、それぞれ意味や使い方が異なります。
ここでは、それぞれの言葉の意味と使い方を詳しく見ていきましょう。
「締める」の意味とは?
「締める」は、物をしっかり固定する、または強く押さえるという意味を持ちます。
- ネクタイを締める(強く結ぶ)
- ネジを締める(しっかり固定する)
- 予算を締める(引き締める、無駄を減らす)
このように、「締める」は何かを固くする・引き締める動作に使われることが多いです。
「閉める」の意味とは?
「閉める」は、開いているものを閉じる、ふさぐという意味を持ちます。
- ドアを閉める(開いていたものを閉じる)
- ふたを閉める(容器のふたを閉じる)
- 店を閉める(営業を終えて閉じる)
「閉める」は、物理的に開いているものをふさぐ動作に使われるのが特徴です。
「締める」と「閉める」の共通点と違い
両者の大きな違いは、
- 「締める」⇒何かを強く固定する・引き締める
- 「閉める」⇒開いているものをふさぐ
という点です。
例えば、「袋の口をしめる」と言う場合、ゴムで強く締める場合は「締める」を使いますが、チャックを閉じる場合は「閉める」を使います。
「締める」と「閉める」の正しい使い分け
「締める」と「閉める」は、意味の違いを理解していても、実際の使い分けで迷うことがあります。
ここでは、具体的な使用例を見ながら、正しい使い分け方を確認していきましょう。
具体的な使用例
| 状況 | 正しい表現 | 理由 |
|---|---|---|
| ドアをしめる | ドアを閉める | ドアは開閉するもの |
| ビンのふたをしめる | ビンのふたを閉める | ふたを開閉する動作 |
| ベルトをしめる | ベルトを締める | 体にフィットさせる |
| 仕事のしめきり | 仕事の締め切り | 期限に制限をかける |
| 店をしめる | 店を閉める | 営業を終えて扉を閉める |
このように、「閉める」は開閉の動作、「締める」は固定・制限の意味を持つことが分かります。
日常での適切な使い分け
日常の中で、無意識に「しめる」を使うことが多いですが、誤った使い方をしないよう注意しましょう。
- 「寒いから窓を閉めて」(×締めて → ○閉めて)
- 「運転するときはシートベルトを締めましょう」(×閉めましょう → ○締めましょう)
- 「今日の会議で今年の予算を締めます」(×閉めます → ○締めます)
このように、「何をする動作なのか」を意識することで、適切に使い分けることができます。
間違えやすいケースと注意点
以下のような表現は、特に間違えやすいので注意が必要です。
- 「会議室のドアを締めてください。」(→「閉めて」が正しい)
- 「会議の議論を閉める。」(→「締める」が正しい)
ポイントは、「開閉の動作」なら「閉める」、「固定・制限・圧迫の動作」なら「締める」と覚えておくことです。
「締める」と「閉める」以外の類似表現
「締める」と「閉める」に似た表現として、「閉じる」や「塞ぐ」などがあります。
これらも混同しやすいので、それぞれの意味と使い方を確認しましょう。
「閉じる」「塞ぐ」との違い
- 閉める
- 開いているものを閉じる「ドアを閉める」「ビンのふたを閉める」
- 締める
- 固定する・圧力をかける「ネクタイを締める」「予算を締める」
- 閉じる
- 開いていたものをぴったりとふさぐ「目を閉じる」「本を閉じる」
- 塞ぐ
- 隙間を埋めてふさぐ「道を塞ぐ」「穴を塞ぐ」
例えば、「目をしめる」とは言わず、「目を閉じる」を使います。これは、目を開け閉じする動作だからです。
一方、「道をしめる」とも言いません。「道を塞ぐ」とするのが正しい使い方です。
ビジネスシーンでの適切な使い分け
ビジネスでも「締める」と「閉める」の正しい使い分けが求められます。
正しい使い方の例:
- 「今月の売上を締める」(締め切る、計算を確定する意味)
- 「会社の決算を締める」(財務の締め作業)
- 「業務終了後は必ず金庫を閉めてください」(開閉の動作)
数字やデータに関わる作業には「締める」、物理的な動作には「閉める」を使うのがポイントです。
その他のよくある間違い
間違いやすい例:
- 「財布の口を閉める」 → 「締める」が正しい(引き締める意味)
- 「プレゼンの最後を閉める」 → 「締める」が正しい(まとめる意味)
- 「会社の門を締める」 → 「閉める」が正しい(開閉の動作)
このように、場面に応じて適切な表現を使うことが重要です。
日本語の使い分けをマスターするコツ
「締める」と「閉める」の使い分けを迷わずできるようになるために、簡単な覚え方や実践的な方法を紹介します。
覚えやすい法則とポイント
「締める」と「閉める」の使い分けは、以下の法則を意識するとスムーズになります。
「締める」は固定・制限の動作に使う
ネクタイやベルトなどの締め付け、締め切りなど制約に関わる場面では「締める」を使う。
「ネクタイを締める」
「予算を締める」
「会議を締める」
「閉める」は開閉の動作に使う
ドア・窓・ふたなど、何かを「開ける/閉める」と表現できるものには「閉める」を使う。
「ドアを閉める」
「本を閉じる」
「ふたを閉める」
ネイティブが自然に使う表現
日常では、以下のような言い回しがよく使われます。
自然な表現の例:
- 「寒いから窓を閉めて」
(開いている窓をふさぐ) - 「しっかりとネジを締めておいてね」
(固定する) - 「会議を締めくくる言葉をお願いします」
(まとめる、終わらせる)
これらのフレーズを覚えておくと、自然に正しい言い回しができるようになります。
辞書や参考書を活用する方法
間違いを防ぐために、以下の方法を活用しましょう。
- 国語辞典で意味を確認する
- 「締める」と「閉める」を検索
- 例文をチェックする
- 辞書サイトや日本語学習アプリを活用
- 実際に文章を書いてみる
- 正しい表現を身につけるために実践
このように、言葉の意味をしっかり理解し、実際に使うことで、日本語の使い分けがより自然になります。
「締める」と「閉める」まとめ
「締める」と「閉める」は、どちらも「しめる」と読みますが、意味や使い方が異なります。
- 「締める」
固定する・引き締める
(例:ネクタイを締める、予算を締める) - 「閉める」
開いているものをふさぐ
(例:ドアを閉める、ふたを閉める)
また、「閉じる」や「塞ぐ」との違いも意識することで、より適切な使い分けができるようになります。
参考になれば幸いです。






