ネットで「イタチ」を検索すると、まず目につくのは「対策」や「駆除」に関する情報が多いこと。少し残念な気持ちになるかもしれませんね。
現在、イタチに対する印象はあまり良くない傾向があります。「人間に迷惑をかける動物」「市街地をちょこちょこ動き回る」「家に侵入してくる」といったネガティブなイメージが先行しているようです。
その一方で、フェレットというイタチの仲間はペットとして非常に人気があります。犬や猫にも劣らない可愛らしさが、飼い主たちを魅了しています。
「イタチもペットとして飼えるの?」と疑問に思う方も少なくありませんが、これはフェレットのような飼いやすい性格を持つ動物と混同されているためです。
今回は、イタチの歴史や日本に生息する種類、そしてフェレットとの違いを含め、イタチに関する知識をお伝えします。
イタチはどんな動物?
近年、イタチは山間部や農村部だけでなく、都市部でも目撃されることが増えています。
見た目は愛らしいかもしれませんが、家の中に入られると様々な被害を受ける可能性があります。
イタチは主に夜行性で、雑食性の動物です。小動物や昆虫、果物などを食べ、非常に広い範囲に生息しています。そのため、近年では害獣として扱われることもあります。
イタチ科には24属55種類があり、食肉目(ネコ目)の中で最大のグループです。専門家の間でも、まだ完全には理解されていない部分が多いとされています。
イタチ科の動物の特徴としては、細長い体、短い脚、そして5本の爪を持つことが挙げられます。また、鋭い歯と、肛門付近にある臭腺を使って縄張りを示すことも特徴です。
体の大きさは、手のひらサイズのイイズナから、ラッコや犬に匹敵する大きさの種類まで様々です。
日本で「イタチ」と呼ばれるものは、多くの場合、在来種の「ニホンイタチ」または外来種の「チョウセンイタチ」を指します。特に、野生で見かけるイタチはほとんどがチョウセンイタチで、沖縄を除く日本各地に分布しています。
体長は25~30センチ程度で、細長い体に長い尾を持ち、茶色い毛皮と特徴的な顔の白い斑点が目立ちます。
雑食性で、ネズミやカエル、鳥類、昆虫、魚などを食べますが、特に肉類が好きです。農作物を荒らすこともあり、畑に侵入してくることも珍しくありません。
野生のイタチは非常に攻撃的なので、素手で触ることは絶対に避けるべきです。また、許可なく捕獲や殺傷することは法律で禁止されています。
イタチは鳥獣保護管理法によって守られています
イタチは無害とは言い難い動物ですが、鳥獣保護管理法により国によって保護されています。無許可で捕まえたり、傷つけたりすることは禁じられています。
オスのイタチについては、自治体の許可を得れば駆除や捕獲が可能ですが、メスのイタチに関しては、駆除や捕獲が法律で禁止されています。違反した場合は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科せられる可能性があるので、十分に注意が必要です。
もし、家がイタチに荒らされるなどの被害を受けた場合でも、捕獲せずに追い出す手段を取ることが推奨されます。専門の業者に依頼すると安全です。
イタチは可愛らしい見た目に反して、非常に攻撃的な性格を持っています。見つけても、絶対に近づいて触れようとしないでください。
イタチは突然襲いかかることがあり、噛みつくこともあります。鋭い爪や牙には、病原菌やウイルスが潜んでいることもあるので、健康面でも危険です。
特に、イタチが激しく鳴いていたり、強い臭いを放っている時は警戒心が高まっている状態です。その場を刺激せず、速やかに離れるのが最善の対応です。
フェレットはどんな動物?
フェレットはイタチ科の動物ですが、イタチとは異なり家畜化された種類です。フェレットはもともと野生ではなく、ペット用として飼育されています。
フェレットは一般的にイタチよりも大きく、体長は35~50センチほどです。毛色はさまざまで、茶色、白、黒、クリーム色など多くのバリエーションが存在します。耳は小さく、尾は長いまま残っています。
また、イタチほどではないものの、フェレットも跳躍力や俊敏な動きが得意です。
フェレットの起源は「ヨーロッパケナガイタチ」とされており、この野生種から品種改良されてペット化されました。フェレットはとても人懐っこく、ペットとして世界中で飼われていますが、野生には存在しません。
イタチは危険を感じると肛門腺から悪臭のある分泌物(イタチの最後っ屁)を放ち、それを利用して敵から逃げますが、フェレットは穏やかな性格で、猫よりも人になつきやすいと言われています。
フェレットもイタチと同様に肛門腺を持っていますが、日本で販売されているフェレットの多くは肛門腺の除去手術を受けているため、強い臭いを放つことはありません。
外見では両者ともに細長い体と短い脚を持っており、シルエットが非常に似ています。しかし、毛色で見分けることができます。
イタチは山吹色から茶色を基調とし、顔の中央が暗い色になっています。一方、フェレットは毛色や模様に個体差が大きく、真っ白なものから黒や茶色の模様があるものまで多様です。
フェレットの毛は「アンダーコート」と「オーバーコート」の2層から構成されており、アンダーコートは柔らかく短い毛、オーバーコートは表面にある長く硬い毛です。この2層の組み合わせによって、見た目の印象が異なります。
フェレットの体や足跡は、イタチよりやや大きい傾向があります。足跡はよく似ていますが、フェレットは野生では見られないため、屋外で足跡を見かけることはほとんどありません。
また、フェレットは完全な肉食動物で、動物性タンパク質を消化するための短い腸を持っています。繊維質の多い野菜や果物は消化しにくいため、消化不良の原因になることがあります。
ペットとして飼われるフェレットには、栄養バランスを考慮した専用のドライフードが与えられるのが一般的です。
イタチって飼えるの?
野生のイタチは、強い狩猟本能と高い警戒心を持っているため、通常ペットとしての飼育には適しません。
日本に生息するイタチは約7~9種類とされ、その中でも在来種の「ニホンイタチ」と外来種の「チョウセンイタチ」が代表的です。現在ではこれらをまとめて「イタチ」と呼ぶことが多いです。
イタチは非常に攻撃的な性格で、人に懐かないため、飼育には向いていません。また、イタチは鳥獣保護管理法によって保護されており、許可なくペットとして飼うことは禁止されています。駆除を行う場合でも、自治体の許可が必要で、無断で捕獲や殺傷を行うと罰則が科せられる可能性があります。
フェレットとイタチは、どちらもイタチ科イタチ属に属しており、生物学的に非常に近い関係にあります。しかし、フェレットは家畜化されている一方、イタチは野生動物であり、性質が異なります。
外見が似ているため、フェレットと同じ感覚でイタチに接触しようとするのは非常に危険です。絶対に捕まえたり、触れたりしないようにしましょう。
フェレットはペットとして人気があり、好奇心旺盛で遊び好き、社交的な性格です。
イタチを駆除する必要性
フェレットに似ていることから、イタチもペットとして飼えるのではないかと思う方もいるかもしれません。しかし、イタチは野生の本能が強く、たとえ幼少期から育てても成長とともに凶暴になる可能性があります。したがって、ペットとしては不適切です。
さらに、イタチが家屋に住みついてしまうと、感染症や病原菌を媒介する恐れがあるため、駆除が必要です。糞尿や腐った餌が家に残ることで、建物の劣化にもつながり、放置することは望ましくありません。
そのため、イタチが住み着いてしまった場合は、速やかに専門の駆除業者に依頼して対応してもらうことが推奨されます。
イタチとフェレットまとめ
イタチとフェレットの違いについて整理しました。フェレットは人懐っこく、飼育に適した動物ですが、イタチは野生の本能が強く、人に慣れることはありません。
森林や道端でイタチを見かけた際は、触れようとせずに距離を置くことが大切です。もし家に住みつかれた場合は、専門業者に相談し、適切に駆除を依頼しましょう。